「PISTOL JAZZ」そして「PJMC」のNo.0でもある青燕がクラッシュしやがった!

しかし「PISTOL JAZZ」は止まらねえ。

「PISTOL JAZZ」のテリトリーはいつだってヤツ等のエンブレムで溢れかえる。
そして脳内サウンドマシーンからは、ヤツ等からダイレクトにインストールされたおかげで
今日もご機嫌に「PISTOL JAZZ」サウンドが響き渡る。

テリトリー内でエンブレムを見かけたら、間違い無くそいつ等は皆ファミリーだ。

どこかのストリートで見かけたら声でも掛けてくれ。
そう「PISTOL JAZZ」は止まらねえ。


テリトリーにはPJMC No.0 青燕のTATTOOをモチーフにしたプレイングハンドのジャンプスーツが目立ち始めた。

13th Avenue0013番地に位置するTiger BoyのイリーガルスタイルのBARでは、ソファーを陣取り高濃度酸素のボトルを手にする青燕の姿。

「最高の眺めだな」

先日のクラッシュによりダメージを負った青燕だが、Tiger Boyが手に入れるお気に入りの高濃度酸素で急激な回復を見せてるのは良いのだが、夜な夜な病棟を抜け出すってんで、周りの奴等は気が気じゃない。

「青燕よ〜、美人なナースに囲まれてるほうが治りが早いんじゃないのかよ?」
Tiger Boyがニヤニヤしながら声を掛ける。

「いや、ここでお前らと一緒にいるのが俺は一番なんだよ」
青燕が通りに目をやる。

しかし今ではハコのフロアだけではなく、通りでもPISTOL JAZZのエンブレムや、青燕のプレイングハンドをやたらと見掛ける様になった。

そしてあのプレイングハンドのジャンプスーツ。
もちろんジャンプスーツは「PISTOL JAZZ MOTORCYCLE CLUB」への敬意、そしてプレイングハンドはNo.0 青燕への最大限のリスペクトからピストルパイレーツクルーが自然発生よろしく、誰からともなく示しあわせた様に着始めたのが始まりらしい。

「ところで次のライブまでもうすぐだな」
Tiger Boyが新しいボトルを仲間に促す。

青燕がうなずく。

「今じゃフロアはエンブレムとプレイングハンドで溢れてるって、マジでヤベーよな〜!ゾクゾクするぜ。次も13crueを連れて行くんで楽しみにしといてくれや。ま、俺が一番楽しみにしてんだけどよ〜」
Tiger Boyが青燕にボトルを手渡す。

ニヒルに微笑む青燕。
「サイコーだよお前ら」

PISTOL JAZZは止まらない。


CLUB13のVIP ROOMでくつろぐ2人。

「青燕、最近調子どうよ?」Tiger Boyが声を掛ける。

「ノープロブレム」ファイヤーバードを手にした青燕が応える。

「しかし回復異常に早かったらしいじゃないの?高濃度酸素がバッチリ効いたんじゃないの〜?」好物のマンゴージュースをストローでかき混ぜる。

「ところで単車で派手にクラッシュした時にマリアに抱えられてたって、街じゃもっぱらの噂になってるぜ」

青燕が天井を見上げる。
クラッシュ、炎、マリア、フラッシュバックする映像。

「それをお守りにってんで、PJMCの奴らもマリアを揃いで背負いだしたんだよな〜。しかもGOD SPEEDって完璧じゃないの」Tiger Boyがフロアに目をやる。

PJMC、3つのチーム
PISTOL JAZZ MORTERCYCLE CLUB
PISTOL JAZZ MIDNIGHT CRUE
PISTOL JAZZ MASSIVE CRUIZER

DJはAco Vicious。
鳴り響くP.I.Lの「PUBLIC IMAGE」
低音がハンパじゃない。
Tiger Boyに気付き、お得意の下品なフィンガーポーズで応える。

「青燕、愛されてんねぇ」ニヤニヤしながら青燕に向き直す。

「マリアに守られてるってのが分かれば、奴らが背負う意味も納得だよな。」

フロアに勢揃いのPJMCは、バックにマリア、フロントにはgod speedとデザインされたコーチジャケットを、それぞれの得意なスタイルで着込なしている。

奴らは完全なストリート集団。
トラブル即対応型。
その行動力はハンパじゃない。

そしてこんな街じゃあ、洒落たスタイルなんてトゥマッチ。
そんな事には誰も興味を持たない。
スタイルこそが信条。

LOCALS ONLY
エリア13
No Violence

いつも度胸試しとばかりに、バイオレンスを求めて訪れるよそ者。
いつの時代でも変わらない。


Aco ViciousがJohnny Thundersの「Pipeline」をスピンした事で、更にフロアはヒートアップ。
しかもLIVE音源回すって、無茶苦茶だろ。
Aco Viciousもノリノリで、UMA出しまくってメルヘンフロアになってやがる。

「青燕よ〜、マジでヤバイって」VIPルームでTiger Boyがつぶやく。

青燕は聞く耳を持たずに、片手に持ったファイヤーバードを壁に立て掛け、ゆっくりと立ち上がりフロアに目をやる。

「絶対ヤバイって。セキュリティにも限界有るって分かってるじゃん、何で無茶するんだよ〜」

Tiger Boyがやれやれとばかりに首を振る。
「勘弁してくれよ、青燕よ〜」

「しょうがねぇなあ」と、窓から外にいるエリア13のセキュリティとも言える13CRUEに声を飛ばす。

「本気で外でやんのかよ〜?」ソファーに身を沈めながら、Tiger Boyがグラスを片手に残ったマンゴージュース飲み干す。

ニヒルに微笑む青燕。

「勘弁してくれよ〜、どうなったって知らねぇからな」半ばあきらめ顔で言葉を返す。
「しかも何でオレのシマでなんよ。絶対ヤバイって。青燕よ〜、こうなったらPJMCの奴ら借りるからな〜!」

「青燕のヤツ、何考えてんだよまったく...」


「青燕、こうなったら路上でやるぞ、路上で!」
言い放ち、Tiger Boyが階段を駆け下りDJブースへ向かう。

「どうしたのTiger Boy?」Aco Viciousが角を生やしたウサギと戯れながら、器用にターンテーブルとミキサーを操ってやがる。

「青燕が外でやるって聞かねーんだよ」Tiger Boyがフロア見据えながら、爆音でDAMNEDの「NEW ROSE」をスピンしてるAco Viciousの耳元で声を張り上げる。

「え〜?ダメじゃん!今日はそれでなくても青燕が来てるって、外でも大騒ぎしてる奴らがいるのにどうするの?」Aco Viciousがヘッドホンを片耳に当て、次の曲をセレクトしながら答える。
直後盤から指を離し、THE CLASHの「RADIO CLASH」をプレイ。

「だからPJMCの奴らを借りるのよ。じゃないと無理!」そう言い放ちながらTiger Boyがマイクを掴む。

「イエーイ、サプライズだ!PISTOL JAZZが今から表で弾けるぜ!青燕の完全復活夜祭だ!」Tiger Boyが外を指さす。
どよめくフロア。

「PJMC!!!!!」大振りなジェスチャーを交え、Tiger BoyがPJMCを呼び集める。

「まずはMOTERCYCLE CLUBとMASSIVE CRUISER、お前らは単車と車で表の道路を封鎖だ。」

「あとはPISTOL JAZZを3つのバンに分けて立たせるから、MIDNIGHT CLUEはその下でセキュリティと行こうじゃねーの」

「13CRUEにお前らPJMCを完全にバックアップさせっから、とにかく絶対踏み込ませるなよ」

結構いるな。PJMCを見ながら、これなら何とかなると、そこら中の13CRUEを集める様に順次指示を出す。

「行くぜ、野郎ども」


CLUB13から外へオーディエンスも動き始める。

「行くぜ、野郎どもって、どうしたのTiger Boy?任侠映画見過ぎじゃないの?」Aco Viciousが不思議そうに見る。

「最近ハマっててさ〜。やっぱ文ちゃん、カッコイイんだよな〜。解る〜?」

Tiger Boyが語り始めるのを察したAco Viciousがそれを無視し、強烈なボディを脇腹に入れる。

「グワッ!」Tiger Boyがうずくまる。威力が3歳児のフックじゃない。

「そんな事しゃべってる場合じゃないでしょ。皆待ってるよ。行くよ!」UMA(未確認生物)達にレコードを持たせ、準備万端とDJブースから移動を始める。

「待ってって〜。ちょっとしゃべってみただけじゃん...」Tiger Boyが脇腹を押さえながら歩き、外に出る。

通りがやたら慌ただしい。

PJMC、MORTERCYCLE CLUBとMASSIVE CRUIZERの連中が、自慢の単車と車で道路封鎖へ向かう。

MIDNIGHT CLUEはステージ用にバンを用意し、13CRUEはCLUB13から機材を運び出す。

「流石だな、アイツ等」痛みを押さえながらTiger Boyが通りを眺める。

「青燕!!!!!」馬鹿デカイ声を張り上げ、Aco ViciousがV.I.P ルームの青燕を呼ぶ。

青燕が窓から見下ろし、ニヤリと笑みを見せる。

通りはPISTOL JAZZのエンブレムで溢れかえっている。

熱気がビシビシと伝わって来る。アツイ。

青燕がファイヤーバードに手にゆっくりと階段を降りる。

そろそろだな。